この記事ではメジャーリーグの年金制度について解説しています。
メジャーリーグの年金制度とは?
メジャーリーグ(MLB)の年金制度は、世界のプロスポーツの中でも特に充実した福利厚生制度として知られています。この制度は1947年に設立され、選手たちの引退後の生活を支える重要な経済的支援となっています。
ちなみに、日本のプロ野球にもかつて年金制度が存在しましたが、2011年に廃止されました。
メジャーリーグ年金の仕組み
メジャーリーグの年金制度は主に下記の3つの財源で運営されています。
- MLBのオーナー側が拠出する掛け金
- 放映権料や商品化権収入の一部
- 選手自身の給与の一部
この年金制度の特徴として、税制上の優遇措置があります。年金受給時の税金は、一般的な給与所得と比べて優遇された税率が適用されます。また、掛け金は税控除の対象となるため、現役時代から税務上のメリットがあります。
メジャーリーグの年金の受給開始年齢は62歳からですが、希望者は45歳から受給を開始することもできます。しかし早期に受給すると受け取れる金額は減ります。
年金は選手が亡くなるまで受給され続けます。配偶者がいる場合、選手が亡くなった後でも配偶者が受給することができます。
メジャーリーグ年金を受け取るための条件【必要な年数と金額】
メジャーリーグの年金受給資格を得るためには、最低でも43日間のメジャーリーグ在籍期間(サービスタイム)が必要です。在籍期間に応じて金額が上がっていく仕組みになっています。
具体的な在籍日数と受給金額は下記のとおりです。メジャーリーグにはシーズンオフがあるため、年間172日以上の登録で1年とカウントされます。
- サービスタイム(在籍期間)が43日の場合:年$6,875(約103万円)
- サービスタイム(在籍期間)が1年の場合:年$27,500(約413万円)
- サービスタイム(在籍期間)が5年の場合:年$137,500(約2,063万円)
- サービスタイム(在籍期間)が10年の場合:年$275,000(約4,125万円)
注:日本円への換算は1ドル=150円で計算しています。為替レートの変動により実際の金額は異なる場合があります。
メジャーリーグ在籍期間(サービスタイム)はアクティブロースター(26人)に所属するか、故障者リストに入っている選手に対して加算されていきます。拡大ロースター(40人)やマイナーリーグにいる期間はサービスタイムとして計算されません。
メジャーリーグ年金の受給対象の日本人選手と金額ランキング【満額の選手も】
日本人選手の中でも、メジャーリーグで長期間活躍した選手たちは年金受給資格を得ています。
受給対象の主な選手と推定金額をみていきましょう。
- イチロー: 満額の年$275,000(約4,125万円)(サービスタイム:19年、引退)
- ダルビッシュ有: 満額の年$275,000(約4,125万円)(サービスタイム:13年目)
- 野茂英雄: 満額の年$275,000(約4,125万円)(サービスタイム:12年、引退)
- 大家友和: 満額の年$275,000(約4,125万円)(サービスタイム:10年、引退)
- 松井秀喜: 満額の年$275,000(約4,125万円)(サービスタイム:10年、引退)
- 上原浩治: 年$247,500(約3,712万円)(サービスタイム: 9年、引退)
- 前田健太: 年$247,500(約3,712万円)(サービスタイム: 9年目)
- 田沢純一: 年$247,500(約3,712万円)(サービスタイム: 9年、引退)
- 長谷川滋利: 年$247,500(約3,712万円)(サービスタイム: 9年、引退)
- 松坂大輔: 年$247,500(約3,712万円)(サービスタイム: 9年、引退)
- 田中将大: 年$192,500(約2,887万円)(サービスタイム: 7年)
- 黒田博樹: 年$192,500(約2,887万円)(サービスタイム: 7年、引退)
- 松井稼頭央: 年$192,500(約2,887万円)(サービスタイム: 7年、引退)
- 大谷翔平: 年$192,500(約2,887万円)(サービスタイム: 7年目)
- 菊池雄星: 年$192,500(約2,887万円)(サービスタイム: 7年目)
- 川﨑宗則: 年$137,500(約2,062万円)(サービスタイム: 5年、引退)
- 佐々木主浩: 年$110,000(約1,650万円)(サービスタイム: 4年、引退)
- マック鈴木: 年$82,500(約1,237万円)(サービスタイム: 3年、引退)
- 新庄剛志: 年$82,500(約1,237万円)(サービスタイム: 3年目、引退)
- 鈴木誠也: 年$82,500(約1,237万円)(サービスタイム: 3年目)
- 千賀滉大: 年$55,000(約825万円)(サービスタイム: 2年目)
- 吉田正尚: 年$55,000(約825万円)(サービスタイム: 2年目)
- 藤浪晋太郎: 年$55,000(約825万円)(サービスタイム: 2年目)
- 松井裕樹: 年$55,000(約825万円)(サービスタイム: 2年目)
- 山本由伸: 年$55,000(約825万円)(サービスタイム: 2年目)
- 今永昇太: 年$55,000(約825万円)(サービスタイム: 2年目)
上記は2025年シーズン開始時のデータであり、現役の選手に関しては今後伸びていくことが予想されます。
まとめ: 今後もメジャーリーグの年金を受給する日本人選手が増える
この記事ではメジャーリーグの年金制度について解説しました。
メジャーリーグ在籍期間(サービスタイム)の長さに応じて、年$6,875(約103万円)〜年$275,000(約4,125万円)が受け取れる制度です。
10年のサービスタイムで満額受給資格を得られるため、選手にとって10年間メジャーリーグに居続けることは大きな意味を持ちます。イチロー、松井秀喜、野茂英雄など、満額年金の受給資格を持っている日本人選手も居ます。現役選手ではダルビッシュ有投手がすでに10年以上のサービスタイムを記録しています。
今後多くの日本人選手がメジャーリーグで活躍すればするほど、年金受給資格を持つ選手も増えてくることが予想されます。